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About Interview

社名:株式会社ウエダ美粧堂
業種:化粧筆・化粧用具・和洋筆・刷毛・画材全般の製造販売及び輸出入、原材料の輸入・販売
創業:昭和20年10月
住所:〒581-0039 大阪府八尾市太田新町4丁目152番地
ウェブサイト:http://www.cosme-bisyodo.com/

取材日:20160512
インタビュアー:チーチャン&あけちゃんチーム
近畿大学経営学部 文能ゼミの3回生。好きなことは、楽しいこと!楽しむこと!

「製毛屋なんて、継ぎたくなかったんだ」
伝統を受け継ぎ、変革し続ける
東大阪のちいさなグローバル企業「ウエダ美粧堂」インタビュー

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ウエダ美粧堂は創業1945年。日本で唯一の「原毛加工輸入会社」として、日本伝統の技×西洋
で培われた技の融合により、この会社にしか作れない原毛を提供し続ける。

そもそも何をなさっている会社ですか?

製毛をしています。簡単に言えば、筆の元となる原毛を、輸入から行い、綺麗に製毛したものを、企業に品おろしをします。穂先を美しくする製毛の他、商品開発・加工までを請け負う場合もあります。かの有名な化粧筆ブランド「熊野筆」も、うちが製毛した毛を使っているメーカーもあります。名前は出せませんが、沢山の化粧品ブランドさんにも品おろしをさせて頂いてます。

原毛と、加工毛って大きく異なるんでしょうか?

雲泥の差ですよ、触ってみてもらったら一番わかるかな~

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キャプション 加工前:左、加工後:右

わ、本当だあ、全っ然違う・・っていうか本当にこんなにカタい毛がこの筆になるんですか?

まるっきりで別物でしょう(笑)

製毛には、沢山の工程があり、この際にどれだけ原毛本来の美質を引き出すかが重要です。ウエダ美粧堂では初代がゼロから学び編み出した独自の加工方法、世界でウチでしかできない精毛方法によって原毛を痛めることなく本来の美質を導き出します。

原毛にはどれくらいの種類があるんですか?

数えられるだけで50以上の種類があります。メイクする部分や用途によって求められる機能や仕上がり感は異なります。高品質の天然毛にはそれぞれ優れた性質があるので、その個性をブレンドすることで可能性を最大限に引き出します。

一つ一つの原毛の特質を熟知し、うまくブレンドし初めて細い線・くっきりした線・あるいはきめ細かい仕上がりやふんわりと柔らかい仕上がりなどが自在になるんです。

原毛の輸入もなさっているんですよね?

輸入だけではありません、中国の自社工場と連携し、製造指導、生産管理を行い、品質の維持、技術のさらなる向上を図っています。筆は結局原毛が全てですからね。原毛の品質が良くなければいくら技術があってもいい筆は作れません。また新たな自社工場も予定しています。

グローバルカンパニーなんですね!!

そうかもしれません(笑)
中国工場との連携は非常に大変なポイントの一つです。近年加工工場が減ってきたり、輸入していたものの品質が悪化してきたこともあり、今年から中国に自社工場を持つことも決まっています。

ウエダさんは二代目の社長さんですよね、ご家業に入られた経緯は?

私は、家業を継ぐ気はありませんでした。まるっきり興味ナシ、単価が安いし、なんせ面白くない、毛ばっかり見ててもしょうがない!ってね(笑)もともと機械は好きで、近高の理工から車の会社に就いたんです。車の整備から営業までをやっていました。体が悪くなってからところが私が25歳の時だね、急に先代が亡くなっちゃって。やめたら家が困るし、お客さんもいるしで、家に入らなしょうがなかった。

急に・・・!相当のご苦労をなさったんじゃないですか?!

まぁそこそこねえ~、仕事の内容を自分のものにするまでの時間は本当に苦労しました。サポートもまるっきりありません、ほとんど母親と二人でやってきました。

まあ元々ものづくりは好きでしたし、、設備やブラシを作り出してからは楽しくなってきましたね。ブラシだって数が集まればお金になりますし(笑)周りから、無理やり職人にされてしまったようなものです。

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ストレートジーンズがお似合いの二代目社長・現会長のウエダさん、75歳

会社としての強みはなんですか?

そもそも、商売敵が少ないというがあります。私たちにしかできないことがある、オンリーワン企業です。また、通常の会社なら外部に委託するような筆を作る機械なども自社で作ってしまうので、スピーディーさも強みです。

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ウエダさんが設計、組み立てまでを手掛けた機械!!

次の世代に受け継ぎたいことを教えてください

技術を受け継ぐことは勿論ですが、今現在新しいことを初めている真っ最中です。

継続、プラス新しいこと。技術へのお客様のニーズに応えつつ、新たなウエダ美粧堂としての経営のカタチを築いていく最中です。

ほうほう・・新たなウエダ美粧堂とは?!

最近から、「原料屋」としてのウエダ美粧堂としてではなく、独自ブランドとして製品を売り出していくことになりました。他社では作れない圧倒的な、最高級品を売り出していきます。また、若い方をターゲットにした、最高品質かつリーズナブルなラインも展開していきます。

 

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それって今いるお客様をライバルにするってことですよね?!

おっしゃる通りです。とは言ってもお客様との兼ね合いが難しいところですし、国内では、どうしても広島のメーカーさんがブランドとして確立してしまっているので、海外の方か入っていきやすなというのはあります。アジアだけではないヨーロッパのお客様までマーケティングを広げていくのが現在の課題です。

ゴメンなさい、完全に舐めていました、ウエダ美粧堂さんスゴすぎる・・・!!
化粧筆のノウハウ、筆へ対する熱いこだわり、戦前からの会社の歴史、八尾の小さな町工場から世界市場への展開・・・筆のことを一つ聞いたら止まらないウエダさん(娘さん)と、あまり多くは語らないいかにも職人気質!という感じのウエダさん(元会長さん)の言葉に、感銘を受けっぱなしの2時間でした。
発案から商品化までのスピードの早さなど、「中小企業だからこそ出来るモノづくり」を目の当たりにし、こういう中小企業こそが日本のモノづくりを担っているのではないかと感じました。
そして単純に、同じ歳くらいで会社とお客様とそして家族を一遍に背負った会長さんがスゴすぎる!!私なら間違いなく逃げます(笑)。
進化を続ける創業70年のウエダ美粧堂さんは、とてつもなくアツすぎる現場でした。

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