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女の子ならば誰もが一度は手に取ったことのあるヘア・ピン。実はヘア・ピンではなく“ボブピン”が正式名称なのです。
ヘア・ピン業界で国内トップを誇る会社が、大阪の東大阪市にある株式会社五力工業です。株式会社五力工業は明治4年に創業。繊維製品から軍需品を経て現在のヘア・ピンの製造に至ります。そんな株式会社五力工業のヘア・ピンは通常のヘア・ピンに比べ、コーティングをすることによって、安全性・耐久性が高く、使いやすさにもこだわって作られています。また、同社のヘア・ピンは主に美容業界で使用されており、私たちは百貨店で購入することができます。
私たちは、ヘア・ピンに関するうんちく、中小企業でありながら国内トップメーカーに至るまでの経緯など沢山お話を伺いました。そして、何より社長の仕事に対する熱い思いに圧倒されました。

About Interview

社名:株式会社 五力工業
業種:製造業
創業:1871年
住所:大阪府東大阪市岩田町3丁目11番11号
ウェブサイト:http://www.goriki555.co.jp/top.html

取材日:20171016
インタビュアー:ゆい

御社のヘア・ピンは先が丸くコーティングされていますが、なぜコーティングしているのですか?

小さな子供がいる家庭だと子供がピンをコンセントに差し込んでしまい、感電する危険性があります。そのため、ピン先を樹脂でコーティングすることで電気を通さないようしています。

どのようにコーティングしているのですか?

最初(50年前)はヘア・ピンの形に生成してから、後付けしていました。そのため、完成品として手元に戻ってきたときには全体の3分の2が錆びていました。

そこで、昭和40年ごろヘア・ピンの製造を全て自動化することを考え始め、後にヘア・ピン全自動装置が完成しました。この機械1つで材料を入れ完成まで行うことが出来ます。

数々の特許を取得されているとHPで拝見したのですが、ヘア・ピン全自動装置でも特許を取得されていますか?

はい。昭和44年に発明に関する特許を取得しました。ほぼ同時期にアメリカも特許を出願していましたが、弊社の方が90日早く出願していたため特許を得ることができ、アメリカとは和解という形になりました。

特許を取得したことで優位なことはありますか?

アメリカと日本間では互いに相手国の機械を輸入しないこと。アメリカの商品は一切日本に輸入しないが、アメリカには商品を輸出できることです。

鎌田社長が考える特許とは何ですか?

特許と聞くと“独占”という言葉を思い浮かべる人が多いと思いますが、特許はその市場を独占するためのものではありません。特許を取得し公開制度によってその技術を公開することで市場の発展を促し、それ以上のモノを作ることを目的としています。

その例としてピン先のコーティングが一般的になっているのは、特許を取得し公開制度によって技術が公開されたためです。

どのような学生でしたか?

工業関係の学校に進学し、卒業後、関西大学商学部に進学しました。勉強以外には弓道や武道に打ち込んでいて、大学生の時には弓道で全国2位になりました。

義務教育が小学校までだったので半分程度しか中学校に進学せず、そこから高校・大学となると本当にごく一部の人しか進学できませんでした。大学まで進学できたのは“環境が良かったから”だと思っています。

高校や大学で学んだことで、何か印象に残っていることはありますか?

工業高校で「言うて聞かせて、してみせる」という指導者の心構えを叩き込まれました。
特に“聞かせて”が重要で、右から左へと抜けていかないように“聞かせる”ことを意識するようにと学びました。

その心構えは今も意識されていますか?

はい。よく部下が何度も質問をしに来ると怒る上司がいますが、それは良くないと思います。指導者は、聞きに来られたら何度も何度もわかるまで教えるという気持ちを持つことが大切です。ですが、あくまで聞く人は3度で聞く努力をするべきだと考えています。

昔から代々続いている会社であると拝見しましたが、昔から変わらず受け継がれていることは何かありますか?

はい、社会貢献です。父の代からなのですが、自動販売機の売り上げの5%を日本赤十字社に寄付しています。その自動販売機は本社の外に1台、工場のある泉佐野に2台あります。

また、子供会のだんじりの支援も行っています。父の代からやっているので、特別なことをしているという意識はありません。

お忙しい中、二度も訪問させていただき、その度に社長や社員の方が温かく迎えてくださりました。
鎌田社長は生い立ちから五力工業がここまで成長するに至った経緯、また、ヘア・ピンのうんちくや独自の製造方法などを語ってくださいました。
五力工業は上述した通り、利益だけを求めるのではなく日本赤十字社への寄付など、社会貢献を長年続けており、その他にも小さな子供が持っても安全なピンの製造等、社会や安全に配慮されているそうです。
このように訪問させていただいたことで、安全のためにコーティングにこだわられている点、継続して実施している社会貢献など五力工業の隠れた魅力がビシビシ伝わってきました。